本 page は WIP / C2P / Prototype の研究シーケンス全般に共通する Limitation を 1 箇所に集約。各技術深掘り explainer (#4 BOOST / #5 Perfusion / #6 4D Flow 等) からは本 page にリンク参照、毎回 Limitation を書かない設計。Manabe-san が医師に提案する際の「必ず明示すべき境界条件」を 5 sections で網羅。
薬機法・FDA・IRB の境界、診断に使ってはいけない。
WIP (Works In Progress) / C2P (Center-to-Push) / Prototype は Siemens の研究用 sequence パッケージであり、NOT 医療機器。Apps Guide p.2 で明記、DICOM `SequenceName` tag に "WIP" 文字列が残置 = 研究用途のリマインダー。
| 項目 | WIP/C2P | 市販シーケンス |
|---|---|---|
| 薬機法 / FDA 510(k) | 未取得 (研究用) | 取得済 |
| 診断・治療への使用 | 不可 | 可 |
| IRB (倫理委員会) | 必須 | 通常不要 |
| 論文発表 | 可 (研究目的明示) | 通常 OK |
| 他施設供与 | 不可 (IPA 限定) | vendor 経由 OK |
📚 用語解説 — 薬機法 (旧薬事法): 医薬品・医療機器の品質・有効性・安全性を確保する日本の法律。医療機器として承認されていない sequence は診断目的に使用不可。
📚 用語解説 — FDA 510(k): 米国 FDA の医療機器承認 process、既存類似機器との同等性 (substantial equivalence) を示す。Cardiac MRI 領域で WIP の多くは未取得。
📚 用語解説 — IRB (Institutional Review Board): 各施設の倫理審査委員会。研究用 sequence 使用時は IRB 承認必須、患者 informed consent も。
🛠️ 運用方法: (1) 提案資料・訪問前 BattleCard で必ず「WIP = 研究用、診断・治療不可」明記 (2) 医師が「ルーチン使う」と言ったら IRB 状況確認 (3) 学会発表時は WIP 明示必須 (4) 患者向け IC 文書に WIP 含めるか医師確認
⚠️ アンチパターン: 「便利だから」と routine 撮像で WIP を勧める → 法的リスク + 信頼喪失。論文に WIP 名 (WIP_094 等) を skip して研究目的を曖昧にする → 査読 reject + ethics 問題。患者 IC で WIP に触れない → 不正利用と認定リスク。
Siemens MAGNETOM 専用、装置バージョンで supported feature 変動。
| Numaris/X バージョン | リリース | 代表 WIP feature |
|---|---|---|
| VE12U | ~2020 | 旧 WIP 中心、新 sequence 多くは未対応 |
| VA50A/51A | May 2024 | Deep Resolve Boost (3D DL), Skipped-CAIPI |
| VA60A/61A | Dec 2024 | Centric reordering + flyback, TONE-WE, EPI ToF, BOOST 最新 |
| VB17 系 (Numaris/4) | ~2017 | Legacy, 多くの新 WIP 動作不可 |
📚 用語解説 — Numaris/X: Siemens MAGNETOM の OS 名、世代別バージョン管理。XA系列 (VAxx) が現行、Numaris/4 (VBxx) は legacy。
📚 用語解説 — MAGNETOM 機種: Skyra (3T 70cm) / Prisma (3T 60cm 研究) / Prismafit (改良版) / Vida (3T 70cm 標準) / Sola (1.5T) / Aera (1.5T) / Terra.X (7T)。各 WIP は対応機種限定。
📚 用語解説 — Skipped-CAIPI: CAIPIRINHA (Controlled Aliasing In Parallel Imaging Results IN Higher Acceleration) の skipped variant、3D acceleration を効率化。
🛠️ 運用方法: (1) 訪問前に施設の Numaris/X バージョン + MAGNETOM 機種を 必ず確認 (2) IT 担当に問合せ、Apps Guide 該当バージョンと照合 (3) WIP 提供前に Wei Liu / SHS 担当に最新要件確認 (4) Project Bridge Dossier に施設装置 metadata 記録
⚠️ アンチパターン: 装置確認なしで提案 → 「動かない」発覚で信頼喪失。VA50A 施設に VA60A 専用 feature を約束 → 移行時期は IT 都合、約束しない。GE/Philips 施設に「次回 Siemens で」と返答 → 装置入替は数千万円規模、現実的でない場合多。
8-12 weeks で締結、沈黙箇所は推測禁止、author swap pattern 厳禁。
📚 用語解説 — IPA タイムライン: 提案 → 法務 review (4 weeks) → 契約案 (2 weeks) → サイン (1 week) → WIP 提供 (1-2 weeks) ≈ 8-12 weeks。緊急時の短縮は exception、原則 8 weeks 以上。
📚 用語解説 — Apps Guide 沈黙 = [要検証]: Apps Guide に記載がない indication / parameter は、断定形で書いてはいけない。`confidence: medium` + 本文 [要検証] マーク必須。
📚 用語解説 — Cross-WIP discipline (Wave 5 確立): lineage 違いを merge しない規律。BOOST の HS lineage (Hu, NIH) と WURST lineage (Chen, USC) は別物、文献引用時は厳格区別。
🛠️ 運用方法: (1) IPA 提案時に 8-12 weeks タイムライン明示、医師の意欲が冷めない調整 (2) Apps Guide 該当章を読み、沈黙箇所を [要検証] flag (3) 文献引用時は lineage 系統 (Hu/Chen 等) を必ず明記 (4) 99_Proposals 経由 staging で AI 提案を verify (Cross-WIP swap 検出)
⚠️ アンチパターン: IPA 短縮を約束 → 法務遅延でユーザー信頼喪失。Apps Guide に書いてない indication を断定形で提案 → hallucination 拡散リスク。Hu pulse と Chen pulse を混同して引用 → BOOST author swap pattern 再現、Manabe-san 嫌う事故 #1。
強磁場 extrapolation 注意、SAR 高 protocol は要検証、TA と分解能のバランス。
| Trade-off 軸 | 1.5T | 3T | 注意点 |
|---|---|---|---|
| SNR | 標準 | ~2x 高い | 高分解能可 |
| T1 緩和時間 | 短い | 長い (~30%+) | TI 再調整必須 |
| SAR | 標準 | ~4x 高い (B0² scaling) | WIP 適用前に要検証 |
| B0 inhomogeneity | 標準 | 大きい | shimming 重要 |
| Cardiac WIP 主流 | Aera 1.5T | Skyra/Prisma/Vida 3T | 1.5T data 単純 extrapolation 不可 |
📚 用語解説 — SAR (Specific Absorption Rate): 単位質量あたりの RF 吸収量 (W/kg)。高 SAR は組織加熱リスク、3T では 1.5T の ~4 倍 (B0² scaling)。Cardiac sequence は long ETL + multi-RF で SAR 高くなりがち、protocol 検証必須。
📚 用語解説 — T1 relaxation @ 1.5T vs 3T: 心筋 T1 = 1.5T で ~950ms, 3T で ~1200ms。inversion recovery sequence では TI 再計算必須、文献の TI 値を rescaling 不可で適用すると失敗。
📚 用語解説 — TA/分解能 trade-off: 撮像時間 (TA) を短縮すると分解能・SNR 低下、CS/Deep Learning recon でこれを部分緩和。
🛠️ 運用方法: (1) 文献引用時に磁場強度を必ず明示 (Liu 2020 = 一部 1.5T data 含む 等) (2) 3T 施設に 1.5T data を引用する時は SAR/T1 違いを明示 (3) 高 SAR protocol は IRB review 必須 (4) TA 短縮を約束する前に分解能 trade-off を医師と確認
⚠️ アンチパターン: 1.5T 論文の TI 値をそのまま 3T で使う → contrast 全崩壊。SAR 限界を超える protocol を提案 → 患者 risk + 装置 emergency stop。「TA 100 秒」を分解能無視で約束 → 0.4×0.4×0.5 mm³ など条件依存、明示必須。
WIP 動作保証は施設責任、教育コストは見えない費用、装置入替時の continuity。
| 項目 | Siemens 担当 | 施設担当 |
|---|---|---|
| WIP 提供 + バージョン管理 | ✅ Wei Liu / SHS | — |
| IPA / IRB 締結 | Co-driver | 主担当 |
| protocol 設定 + 動作確認 | Initial setup support | routine 動作保証 |
| 技師教育 + 撮像 quality | Initial training | 継続教育 |
| 装置入替時の WIP 移行 | 新装置 IPA + WIP 再供与 | 移行計画 + IT 調整 |
📚 用語解説 — 動作保証 = 施設責任: WIP 提供後の routine 動作・撮像 quality は施設の技師チームの責任。Siemens は initial training まで、継続教育は施設側で持続必要。
📚 用語解説 — 教育コスト: 技師 1 人あたり ~10-20 時間の training + 月次振り返り。「WIP は無料」の誤解を解く必要あり。
📚 用語解説 — 装置入替時の continuity: 装置を新世代に入替する時、WIP は 新装置版を再供与必要、自動引継ぎなし。IPA も新装置で再締結。
🛠️ 運用方法: (1) IPA 締結時に「動作保証 = 施設」明示 (2) 教育コストを医師・技師長と事前合意 (3) 装置入替計画があるなら IPA に「新装置移行 clause」追加検討 (4) Project Dossier に装置 metadata + IPA 期限を記録 (5) 装置入替 6 ヶ月前に WIP continuity 計画
⚠️ アンチパターン: 「Siemens が動作保証する」と誤解させる → 後でクレーム、信頼喪失。教育コストを「無料」と説明 → 隠れた負担で技師疲弊。装置入替時に WIP continuity を skip → 患者撮像中断 → 緊急 escalation。